地元な話。 その5【旧伊藤伝右衛門邸・南棟編】
みなさま、こんにちは。
きっとおそらくヒダマルです。
前回からの続き、旧伊藤伝右衛門邸のお話です。
目的地に到着するまでで話が終わっちゃった前回ですが、いよいよ邸宅内へ突入していきますよ。
貧乏人がくぐるにゃ勇気のいる門↓を通って、雅な世界へ迷い込もうと思います。
玄関先と六角なぐり。
社会不適合ニートが門前払いされることもなく、300円の入場料金を払って門をくぐりました。
ガチャガチャ並の金額でここに入れると思うと、破格の安さです。
あ、受付は先ほどのデッカイ門をくぐってすぐ右側にあります。
左側にはお土産ショップがあるので帰りに寄るか、先に250円のガイドブックだけ購入しておくのも良いと思います。
ということで、玄関先。
質実剛健な感のある正面玄関。
暗くて分かり辛いですが、上がりかまちは二段になっており、着物を着た女性も上がりやすいように配慮されているのだとか。
脱いだ靴はビニール袋に入れて持ち歩かなくてはいけないので、重い靴やブーツなんかで来るとちょっと面倒かもしれません。
ビニール袋は施設の方で用意されています。
玄関口でまず確認すべしは、注意事項です。
基本的にお触りNG、動画の撮影もダメだそうです。
(ここだけ読むといかがわしいな……)
このふたつだけ意識してれば、後は常識の範囲内ですね。もちろん飲食もアウトでしょう。
筑豊の誇る文化財なので、訪れた際は大切にしていただけると嬉しいです。
靴を脱いで、袋に入れて、いざ足を踏み入れたと同時に、
八畳の玄関がお出迎え。
入った途端にコレかよ……。
大抵の日本人の一人部屋より広いよ、ヒダマルも例に漏れずだよ……。っていうか何のためのスペースだよ……。
まず目につくのは、「協」以外ぜんぜん読めない書ですね。
高田忠周という方が書いたそうですが、「た行多すぎんだろ」とツッコみたくなる個性的なお名前です。
他に、ヒダマル的に気になったのが、この細やかな装飾。
窓に使われている木材ですが、分かります?
一本一本、規則的に細かく削られているんです。
大きさ、広さだけでなく、こうした小さな部分にまで工夫を凝らされていることを知った時点で、「この屋敷、本当にタダもんじゃねぇな」という実感がわきました。
後にガイドブックを読んで知ったことですが、この意匠は「六角なぐり」というもので、栗材を使用しているそうです。
応接間。
八畳の玄関からすぐ左に目をやると、洋風な応接間が見えます。
石炭王だけあって、暖炉の右には家紋入りの石炭箱が。
写真も飾られていますね。
上方を彩るステンドグラスは、英国製なんだとか。ハイカラってやつです。
実はさっきの玄関口から既に見えており、外の人間にもさりげなく自慢されています。演出がにくい。
書斎。
玄関を挟んで反対側は、書斎となっております。
本好きとしては、作り付けの本棚に痺れる&憧れる。
この書斎に、伝右衛門さんがどんなふうに机を配置してたのか、とっても気になりますね……。
外から見てシンメトリーっぽくなるように、こちらにもステンドグラスが配置されてますよ。洒落とんしゃ~(ついつい訛る)。
床は、応接間と同じく寄木。
……なんか、学校の教室を思い出します。無性に雑巾がけしたくなる。
壁面も特徴的。
説明書きにもありますが、着物の帯を解いた絹を練り込んであるそうです。高級なぬりかべです。
寒い時期には、あったかい雰囲気が出そうでイイですね。
板戸には、金の下地に四季の草花。先程の高田忠周さんと同じく、福岡出身の方の作品だそうです。
木蓮が素敵だ。
枝はぐねぐね好き勝手に伸びる一方、どこで咲いても上を向く花ですから。誠実にして質実、その生き様に憧れます。
向日葵みたいには生きられませんが、こうありたいもんです。
居間の窓。
書斎を後にすると、二部屋が連なった居間に出ます。
それにしても、さっきからいちいち広いな……。ここのひと、「四畳半」って言葉は知ってるのかな……。
あ、おおっ。
ちょっとコレ見てください。
すりガラス!
こ~ゆ~窓ガラス、大っ好き。
さっきのステンドグラスより遥かに好き。
なんでしょうねこの、「冷たいけど暖かい」っていう不思議な存在感? いわば轟焦凍くん?(『僕のヒーローアカデミア』より)
これはね、いくらでも眺めていられますね。
凹凸を触って確かめたいけど、お触り厳禁だもんな~。
そして、更に趣き深いギミックが……、
懐かしの鍵。
先をつまんでこう、くりくりくりって差し込んで閉めるタイプの鍵。
久しぶりに見たなぁこの様式美……。どのあたりの年代まで知ってるんだろう。
ここに住みたいなぁ……。
花子とアン。
ステキな窓の背後、もうひとつの居間には、NHKの連続テレビ小説『花子とアン』の撮影コーナーが設置されていました。
よく知りませんが、伝右衛門さんの妻・柳原白蓮さんと関係があるみたい。
『赤毛のアン』の初版本は、こんなデザインだったそうです。もちろんレプリカです。
帽子や鞄などの小物はもちろん、なんと衣装まで用意されています。女性ファンの方は、けっこう嬉しいんじゃなかろうか。
あ、そういえば、この先の展示スペースに仲間由紀恵さんと吉田鋼太郎さんのサイン色紙が飾ってありました。
柳原白蓮の創作の様子がうかがえる道具類や、寄稿した雑誌なんかもあり、興味がある方にはたまらないと思われます。
まとめ。
次回へ続きます。
全体の三分の一くらいしか到達してない気がしますが、続くったら続きます。
次はいよいよ屋敷の目玉を紹介するので、お楽しみに。
ちょこっとだけ予告しておくと……、
本座敷と、お庭です。
地元な話。 その9【旧伊藤伝右衛門邸・二階座敷/白蓮居間編】